楊家溝村日本人婚礼
我々は生態の回復はその風土に根ざした文化の回復なしには実現しえないと考えている。この地域独特の窰洞(ヤオトン)と呼ばれる伝統的建築を重視し、活動拠点を米脂県楊家溝村の窰洞に置いている。ここには既に延べ数百人の外国人が宿泊し、窰洞のすばらしさを体験している。
ところが、地元の人々の間では、従来の窰洞よりも、より「現代的」なレンガ造りのタイル張りの建物(平房)の方が「特色がある」という意識が広まりつつあり、県城周辺では窰洞はほとんど新築されなくなっている。楊家溝に繋がる川沿いでも、下流から徐々に平房が増えつつある。また、各種の儀礼で演奏されるスオナーと呼ばれるチャルメラを中心とした楽団も、トランペット、トロンボーン、ドラムスなどを入れた「現代的」なものが支配的になっている。こういった伝統文化の流失は危機的な水準に達している。
このような人々の意識を変革する試みとして、2004年1月25日~26日に、北京で活動する日本人カップルの結婚式を挙行した。我々の滞在する窰洞の主人馬智恵と常菊芳がボランティアでこの事業の推進を引き受けた。彼らは村の古老の知識を動員し、解放前の伝統的な様式を出来る限り回顧してもらい、それに合わせた様式を復興させた。最重要のアイテムは花嫁を乗せる輿である。輿を用いた婚礼は46年間も行われていなかった。最後の輿に乗った花嫁ももはや老人であり、復興の最後のチャンスであったと言うこともできる。また、花嫁花婿の衣装のみならず、参加する人々もできるだけ伝統的衣装を身に着けることにして、12着の冬用の農民服を作った。この服も地元の人はあまり着なくなっており、これだけ大量につくられたのは20~30年ぶりであろう。更に、かつて各種の儀礼で活躍していたロバが、自動車に取って代わられて省みられなくなっているが、この婚礼ではロバが重要な役割を果たした。
地元の人々が顧みなくなりつつあるこのような文化的儀礼を、外国人の婚礼を中心にして復活させるというイベントの影響力は大きかった。春節中であったにもかかわらず県政府の県長、副県長、文化局長以下の委員会が協力し、マスコミを招聘した結果、西安晩報、楡林日報では一面トップのカラー写真入りで報道され、華商報、西部大開発などの新聞に掲載されたほか、西安晩報を引用する形で、全国の新聞に転載された。また、三秦都市報と経済導報は我々の配布した黄土高原生態回復の理念についての文書と深尾への長時間のインタビューに依拠し、長文の記事を掲載した。また、陝西省電視台、楡林電視台、延安電視台などがトップあるいは二番目のニュースとして報道し、地元の米脂電視台は1時間番組を作成して三回にわたって放映した。中央電視台7チャンネルは婚礼につづいてもう一度取材に訪れ、深尾の活動を中心とした報道をおこなった。
詳細は
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/~yasutomi/hunli/index.html
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- at Apr, 09, 2007